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毎日つけているのに、月末にまた作る — デイサービス実施記録を自動集約する設計

通所介護の記録義務・保存期間・様式のルールと実地指導の指摘傾向を整理し、CareSpace OSが記録の二重入力をなくす設計にした理由を解説する。

毎日つけているのに、月末にまた作る — デイサービス実施記録を自動集約する設計

対象読者: 通所介護(デイサービス)の相談員・管理者・現場スタッフ この記事で分かること: 通所介護の記録義務・保存期間・様式に関する法的なルール、実地指導で指摘されやすいポイント、CareSpace OSが「記録の二重入力」をどう解消する設計にしたか 読了目安: 7分


記録は毎日つけているのに、なぜ月末にまた作り直すのか

バイタル、食事、入浴、排泄、機能訓練。デイサービスの現場は、これらを毎日カテゴリごとに記録している。多くの事業所ではすでに介護ソフトに入力する運用が定着している。

それなのに、実地指導が近づくと「利用者×利用日」単位のサービス実施記録票を、月末にまた一から作り直すことになる。すでに入力したはずのデータを、別の様式に転記し直す二重作業だ。

この二重作業には、実は明確な制度的背景がある。

記録義務の根拠は、居宅基準省令(平成11年厚生省令第37号)第19条「サービスの提供の記録」で、通所介護にも準用される。記録すべき事項は①提供日 ②具体的なサービス内容 ③利用者の心身の状況 ④その他必要な事項の4点。利用者から申し出があれば、文書交付等で情報提供する義務もある(出典: https://laws.e-gov.go.jp/law/411M50000100037)。

一方で、様式そのものに法定指定はない。自由様式でよい(出典: https://rehab.cloud/mag/8984/)。「決まったフォーマットがないなら好きに作ればいい」と思うかもしれないが、実地指導では実質的に「利用者ごと・利用日ごとの記録」が確認されるため、様式は自由でも単位は自由ではない。

保存期間も見落としやすい。省令上は原則2年だが、多くの自治体条例では報酬返還請求権の時効に合わせて5年としている(出典: https://www.city.kawasaki.jp/350/cmsfiles/contents/0000105/105693/kirokunoseibi_hozon.pdf)。自事業所の指定権者の条例を確認せずに2年で運用すると、あとで足元をすくわれかねない。

なお、利用者や家族のサイン・押印は義務ではない。2021年4月以降、行政手続きにおける押印不要の方針が明確化されている(出典: https://caps-plus.jp/2024/08/19/)。訪問介護でサインをもらう慣行が残っているのは「密室でのサービス提供を確認する」という文脈が強く、職員が常時同席する通所介護では本来必須ではない。

そして実地指導でもっとも指摘されやすいのが、加算算定根拠の記録不足と、職員内輪の用語や雑な記述だ。なかでも見過ごせないのが、介護ソフトのコピペ・定型文の使い回しによって「その日固有の内容」が記録に残っていないという指摘だ。転記の手間を省こうとした結果、かえって記録の質を問われる。これは制度が求める「④その他必要な事項」、つまりその日その利用者に固有の心身の状況の記載が薄いことが問題視されるためだ。

記録を「もう一度書かない」— 実施記録票を自動集約する設計

この二重作業を解消するために、CareSpace OSでは次の設計にした。

日々の記録は、これまでどおりバイタル・食事・入浴・排泄・機能訓練・活動記録といった既存カテゴリにそのまま入力する。現場の運用は一切変えない。

その上で、「利用者×利用日」を選ぶと、その日にすでに入力されているバイタル・食事・入浴・排泄・機能訓練・活動記録のデータを、サービス実施記録票の形に自動で集約する。相談員がゼロから転記する作業は発生しない。

集約されたデータを確認したら、特記事項(その日その利用者に固有の様子)を追記して確定する。ここが唯一の「新たに書く」作業になる。確定後はA4様式の帳票として出力できる。

さらに、「本日の予定利用者×記録状況」を一覧で見られるダッシュボードを設け、まだ記録が入っていない利用者をその場で把握できるようにする。実施記録票を月末にまとめて作るのではなく、日々の記録が積み上がった時点で実施記録票もほぼ完成している状態を目指した。狙いは一つ、二重入力をゼロにすることだ。

なぜ専用フォームを作らず、集約型にしたか

実は設計の途中で、訪問介護の実施記録と同じように「通所介護専用の記録カード」を新しく作る案も検討した。1画面で完結し、訪問介護とUIが揃うという利点がある。

しかし、この案は採用しなかった。専用カードを作ると、すでに入力しているバイタルや食事記録と、専用カード側の入力のどちらが正になるのか、二重管理になってしまう。せっかく毎日入力している記録が、実施記録票の材料として使われず、宙に浮いてしまう。

CareSpace OSが集約型を選んだ理由は、二重入力を避けることと、現場がすでに続けている運用との連続性を保つことの2つに尽きる。新しい入力先を増やすのではなく、すでにある記録を「別の形に組み替えて見せる」ほうが、現場の負担を増やさない。

ただし、自動集約には落とし穴もある。集約されたデータをそのまま帳票にするだけでは、実地指導で問題視される「コピペ・定型文の使い回し」を、システムが助長してしまいかねない。だからこそ、特記事項の欄は「その日固有の記載」を書くことを前提にした欄として設計し、単なる自動出力の追認で終わらせない工夫が必須だと考えている。丸写しの記録は、システムが作ろうと人が作ろうと、行政指摘の対象になりうる点は変わらない。

なお、日々の記録を各カテゴリにこまめに入力していない事業所では、集約元のデータが少なく、実施記録票が空に近い状態になる可能性がある。この場合は記録票の各項目を直接編集できるようにして、集約に頼りきらない運用でも使えるようにする想定だ。

通所介護事業者へのメッセージ

この設計が実現すると、目指す世界観はシンプルだ。日々の記録を各カテゴリに入力し終えた時点で、月末の実施記録票づくりという別作業がなくなる。相談員がやるのは、集約結果を確認し、特記事項でその日固有の様子を書き足すことだけになる。

合うのは、すでにバイタルや食事、入浴などの記録を日々システムに入力している事業所だ。集約の元データがそのまま実施記録票の中身になる。

正直に書くと、紙のメモや口頭申し送りのままで記録をシステムに入れていない事業所には、この仕組みはすぐには効果を発揮しない。まずは日々の記録を電子化するところから始める必要がある。この機能は、日々の記録という土台があってはじめて意味を持つ設計だ。

これはFC先からの「利用者ごとに記録をとった内容から一気に反映されると良い」という要望を起点に固めた設計方針であり、通所介護の実地指導の実態と既存の記録データの両方に合わせて詰めたものだ。


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