一人の利用者を支えているのは、一つの事業所だけではありません。
ケアマネジャー、訪問介護、通所介護、訪問看護、福祉用具、医療機関など、それぞれ異なる専門性を持つ人たちが関わっています。
多職種が関わるからこそ、利用者の生活を多面的に支えることができます。一方で、関係者が増えるほど情報共有は複雑になります。
電話をかけても相手が訪問中でつながらない。FAXを送っても、担当者が確認したか分からない。受け取った書類を利用者のファイルへ保存し、必要な内容を記録へ転記する。あとから経緯を確認しようとしても、情報が電話メモ、FAX、メール、記録ソフトに分かれている。
介護現場の多職種連携が難しい理由は、連携する意識が足りないからではありません。
事業所を越えて情報を届け、確認し、利用者ごとに残す仕組みが十分に整っていないことが、大きな原因の一つです。
介護の多職種連携で起きやすい4つの課題
1.電話は、相手と時間が合わなければ成立しない
電話は、緊急時や複雑な相談には欠かせない連絡手段です。
しかし、日常的な状況報告まで電話だけで行おうとすると、発信側と受信側の時間を同時に確保する必要があります。
ケアマネジャーが電話をかけたとき、相手は送迎中かもしれません。介護事業所から連絡したとき、ケアマネジャーは訪問中かもしれません。折り返しが重なれば、一つの確認に何度も電話をかけることになります。
電話が悪いのではなく、急ぎではない共有まで電話に集中していることが問題です。
2.FAXは、受信後の確認と振り分けが必要になる
FAXは、介護業界で広く使われている連絡手段です。相手が同じシステムを使っていなくても書類を送れるため、今も重要な役割があります。
一方、受信後には多くの作業が発生します。
- 複合機まで書類を取りに行く
- 誰宛ての書類か確認する
- 担当者へ渡す
- 利用者ごとに仕分ける
- 必要に応じてスキャンする
- 記録や支援経過へ内容を転記する
送信が完了しても、相手が内容を確認したかは分かりません。急ぎの書類であれば、確認の電話が追加で必要になることもあります。
3.利用者に関する情報が複数の場所へ分散する
多職種連携で本当に必要なのは、単に連絡を取れることではありません。
「いつ、誰が、どの利用者について、何を伝え、その後どう対応したか」を確認できることが重要です。
電話内容は手書きメモ、書類はFAX、補足はメール、正式な経過は記録ソフトという状態では、あとから一連の流れを追うことが難しくなります。
担当者しか経緯を把握していない状態になると、休みの日や担当変更時の引き継ぎにも時間がかかります。
4.共有した情報を再び入力し直している
電話で聞いた内容をメモし、あとから支援経過へ入力する。FAXで受け取った書類をスキャンし、ファイル名を付け、利用者のフォルダへ保存する。
こうした転記や整理は、一つひとつを見ると短い作業です。しかし、利用者数と連携先が増えるほど、毎日繰り返される大きな負担になります。
入力を一度で終わらせ、その情報を記録と共有の両方へつなげる設計が必要です。
多職種連携のデジタル化で大切な5つの条件
チャットを導入するだけでは、多職種連携が改善するとは限りません。個人向けの連絡アプリでやり取りすると、利用者との紐づけや組織としての履歴管理が難しくなる場合があります。
介護現場で使う仕組みには、少なくとも次の条件が必要です。
利用者ごとにやり取りがまとまる
ルームを見れば、どの利用者に関する連絡なのか分かる状態にします。氏名を毎回入力しなくても、メッセージと書類が対象利用者に紐づいていることが重要です。
事業所を越えて参加できる
同じ法人内の職員だけでなく、利用者を一緒に支援する別法人・別事業所とつながれる必要があります。
非同期で共有できる
相手が訪問中でも、メッセージを残しておけば、戻ったあとに確認できます。緊急性の低い連絡を非同期にすることで、電話の回数を減らせます。
メッセージと書類を一緒に管理できる
書類だけを送るのではなく、「何の書類か」「どこを確認してほしいか」というメッセージと一緒に残せることが大切です。
誰に確認してほしいかを明確にできる
参加者が増えるほど、全員に同じ通知を送るだけでは重要な連絡が埋もれます。担当者へのメンションや既読状況を使い、確認してほしい相手を明確にする必要があります。
CareSpace OSの多職種連携チャット
CareSpace OSでは、同じ利用者を支援している事業所へ連携申請を送り、相手事業所が承認すると、その利用者専用の多職種連携チャットを利用できます。
事業所を越えて一つのルームに参加し、次のような情報共有ができます。
- 利用者の状況や支援内容をメッセージで共有する
- 写真や書類などのファイルを添付する
- CareSpace OSのケースファイルに保存された書類を共有する
- チャットで受け取った書類を利用者のケースファイルへ保存する
- 特定の担当者やルーム全員へメンションする
- 送信したメッセージの既読状況を確認する
チャットとケースファイルが分かれていないため、受け取った書類をダウンロードし、別の場所へ保存し直す作業を減らせます。
多職種連携チャットの具体的な活用場面
デイサービスからケアマネジャーへ変化を共有する
利用時の様子や、以前と異なる点をメッセージで共有します。必要に応じて写真や書類を添付し、担当ケアマネジャーをメンションします。
緊急性が低い内容であれば、ケアマネジャーは訪問を終えたあとに確認できます。すぐに判断が必要な内容は、従来どおり電話を併用します。
訪問看護と介護事業所で状態変化を共有する
バイタルや生活状況の変化について、関係する事業所が同じルームで経緯を確認します。
一回の連絡だけでなく、前後のやり取りが時系列で残るため、「誰から何を聞いたか」だけでなく、その後の対応まで確認しやすくなります。
ケアマネジャーから関係事業所へ書類を共有する
ケースファイルに保存している書類をチャットへ添付し、確認してほしい点をメッセージで伝えます。
受け取った側も、メッセージと書類を同じ画面で確認できます。書類だけが届き、目的が分からないという状態を減らせます。
電話やFAXをすべてなくすことが目的ではない
多職種連携をデジタル化する目的は、電話やFAXを無理になくすことではありません。
緊急時には電話が必要です。相手先の環境や運用によっては、FAXが適している場面もあります。
重要なのは、すべての連絡を同じ手段で行うのではなく、内容に合わせて使い分けることです。
- 緊急性が高く、すぐに判断が必要な内容は電話
- 急ぎではなく、履歴を残したい連絡はチャット
- 書類はメッセージと一緒に共有
- 正式な記録として必要な内容は利用者の記録へ保存
日常的な確認をチャットへ移すことで、本当に電話が必要な場面へ集中できます。
多職種連携を、担当者の努力だけに頼らない
介護現場では、多くの人が利用者のために丁寧な連携を続けています。
その連携が、何度も電話をかけること、FAXを探すこと、同じ情報を転記することによって支えられているのであれば、仕組みを見直す余地があります。
利用者ごとに関係者がつながり、メッセージと書類が一つの場所へまとまり、必要な人が必要なときに確認できる。
CareSpace OSは、事業所内の業務だけでなく、事業所を越えた情報共有まで一つの流れにつなげ、地域で利用者を支える人たちの連携を改善していきます。

