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「残業の原因は書類」と分かっていても減らない理由 — ケアマネの残業は“組み立て”時間で決まる

ケアマネの残業が書類の入力速度では減らない理由を、「打つ時間」と「組み立てる時間」に分解して整理。情報を一度で集め書類間で使い回すCareSpace OSの設計を解説する。

「残業の原因は書類」と分かっていても減らない理由 — ケアマネの残業は"組み立て"時間で決まる

対象読者: 日中は利用者対応や訪問に追われ、書類作成が夜や持ち帰りに回りがちな居宅介護支援事業所のケアマネジャー・管理者 この記事で分かること: ケアマネの残業が書類の「入力速度」では減らない理由、残業の正体である"組み立て"時間の構造、情報を一度で使い回すCareSpace OSの設計思想 読了目安: 6分


残業の原因が「書類」だと、みんな知っている

ケアマネの残業について尋ねると、原因はほぼ一つに集約される。書類だ。アセスメント、ケアプラン第1〜3表、サービス担当者会議の記録、支援経過記録、モニタリング。日中は訪問や電話、調整に追われ、書類はどうしても夜や持ち帰りに回る。

原因が分かっているのに、なぜ減らないのか。ここに、時短術やタイピング練習では残業が消えない本当の理由がある。

減らないのは、「打つ時間」を短くしようとしているから

多くの時短の工夫は、「書類を速く書く」ことに向かっている。文例集を用意する、辞書登録を増やす、タイピングを速くする。だが、ケアマネの残業時間の大半は、実は文章を打っている時間ではない。

書類作成にかかる時間を分解すると、大きく二つに分かれる。一つは、決まった内容を文字にして入力する「打つ時間」。もう一つは、何を書くかを決め、必要な情報を探し、他の書類との整合を取る「組み立てる時間」だ。

そして、残業を生んでいるのは後者だ。第2表のニーズを一つ書くために、アセスメントを読み返し、前回のモニタリング結果を確認し、主治医意見書と照らし合わせる。この「情報を集めて突き合わせ、どう書くかを判断する」時間が、実際の入力時間よりずっと長い。だから、打つ速度をどれだけ上げても、残業は思ったほど減らない。

"組み立て"時間の正体は、同じ情報を何度も探すこと

組み立て時間がふくらむ最大の要因は、同じ情報を書類ごとに何度も探し直していることだ。

アセスメントで把握した心身の状況は、課題整理総括表にも、ケアプランにも、モニタリングにも関わる。だが、それぞれの書類が別々の場所・別々の様式で管理されていると、同じ情報を毎回どこかから探してきて、書類ごとに書き写すことになる。しかも書き写す過程で、書類間の記載がずれていないかを人の目で確認する手間まで発生する。

一度把握した情報が、次の書類で自動的に使えない。この「使い回せなさ」が、ケアマネの夜を長くしている。

情報を一度で集め、書類間で使い回す

CareSpace OSがケアマネの業務に置いている設計は、この"組み立て"時間を削ることに向けている。書類を速く打たせるのではなく、そもそも組み立て直す作業を減らす、という発想だ。

  • アセスメントで入力した情報が、課題整理総括表やケアプランの下書きに引き継がれる。同じ項目を書類ごとに入力し直さない。
  • ケアプラン第1〜3表はAIが下書きを作り、ケアマネは内容を判断して確定する。ゼロから文章を組み立てる負担を、確認と修正の作業に置き換える。
  • 訪問直後の音声メモやモニタリングの内容は、支援経過記録に自動で転記される。同じことを二度書かない。

いずれも、「速く打つ」ためではなく、「同じ情報を何度も探して書き写す」時間そのものをなくすための設計だ。打つ時間ではなく、組み立てる時間に切り込んでいる。

なぜ「組み立て」を軽くする設計にしたのか

CARESPACEはBuy First, Build Laterの方針で、施設を運営してから課題をシステムに反映している。LINE(デイケア)を10年以上、2026年3月からは居宅介護支援事業所「かいごの窓口」も運営してきた。

居宅の実務を回して見えたのは、ケアマネが夜遅くまで残るのは、文章を書くのが遅いからではないということだ。日中に集めた情報を、夜になってもう一度書類ごとに組み立て直しているから時間がかかる。だから私たちは、入力を速くする機能ではなく、一度集めた情報を書類の間で流し、組み立て直す作業そのものを減らすことを優先した。

書く速度を上げる発想には限界がある。上げられる速度には上限があるし、速く打つほど記載は雑になりやすい。それよりも、同じ作業を二度させないほうが、残業にも記録の質にも効く。

この記事が向く事業者、向かない事業者

一人あたりの担当件数が多く、書類作成が夜や持ち帰りに常態化している居宅介護支援事業所には、"組み立て"時間に切り込む発想は効いてくる。まず、自分たちの残業のうち「打つ時間」と「組み立てる時間」がどのくらいの比率かを見てみるだけでも、手を打つ場所が変わる。

一方、担当件数が少なく、書類が日中の時間内に収まっている事業所には、この仕組みの効果は限定的だ。その場合は、業務時間の短縮より、一件ごとのケアの質を深めることに時間を使ったほうがいい。

ケアマネの残業は、書く速度ではなく、組み立て直す回数で決まる。同じ情報を二度探さない仕組みさえあれば、夜に持ち越していた時間は、日中のうちに畳める。

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