「職員を採用したい」「稼働率も上げたい」「管理者の負担も減らしたい」「紙やExcelも見直したい」
介護事業の経営課題は、一つだけで完結することがほとんどありません。人員が足りないから管理者が現場へ入り、営業や育成が後回しになり、利用者を受け入れられず、売上にも影響する。複数の問題がつながっているため、全部が重要に見えてしまいます。
そこで必要なのは、最初から完璧な解決策を考えることではありません。
今起きていることを分け、つながりを確認し、最初に変える一つを決めることです。
この記事では、介護経営の課題を45分で整理するための5つのステップを紹介します。紙とペンだけでも始められます。
新しい取り組みとして、介護経営の45分無料相談を始めました
CARESPACEでは今回、介護事業の経営者、役員、施設長、管理者を対象に、45分の無料相談を新たに始めました。三浦が直接対応するため、毎月5社限定です。
この相談の目的は、45分ですべての問題に答えを出すことではありません。
- 今、事業所で何が起きているのか
- 複数の悩みがどうつながっているのか
- どの課題から確認すべきか
- 明日から何を始めるか
この4点を一緒に整理し、「最初に変える一つ」を明確にするための時間です。
相談内容が決まっていなくても、数字や資料が揃っていなくても構いません。「管理者が疲れている気がする」「忙しいのに利益が残らない」「採用すべきか、業務を見直すべきか迷っている」といった、まだ整理されていない状態から始められます。
特定の商品やサービスを契約することを前提にした相談ではありません。自社で取り組めること、別の専門家へ相談した方がよいこと、今は大きく動かない方がよいことも含めて整理します。
以下の5ステップは、実際の相談でも土台として使う考え方です。相談を申し込む前に、自分で一度整理してみたい方も、そのまま活用できます。
ステップ1|「事実」と「不安」を分けて書く
最初の5分では、頭の中にあることを「確認できる事実」と「感じている不安」に分けます。
例えば、次のように書きます。
確認できる事実
- 直近3か月で職員が2人退職した
- 管理者が週4日、現場のシフトへ入っている
- 新規問い合わせへの折り返しが翌日になることがある
- 月間の利用者数が目標より5人少ない
感じている不安
- 残っている職員も辞めるのではないか
- 新しく採用しても教育できないのではないか
- このままでは来月の売上がさらに下がるのではないか
不安を否定する必要はありません。ただし、事実と混ぜたまま考えると、すべてが緊急に見えてしまいます。
事実は現在地を確認する材料。不安は、追加で確かめるべきことを見つける材料として扱います。
ステップ2|課題を4つの箱へ分ける
次の10分では、書き出した内容を4つに分けます。
人
採用、退職、定着、教育、配置、管理者の負担、職員間の関係などです。
利用者と売上
新規相談、利用開始、欠席、入院、終了、利用頻度、稼働率、営業活動などです。
業務
記録、請求、計画書、シフト、会議、情報共有、電話、FAX、転記、承認などです。
お金
売上、人件費、採用費、残業代、外注費、加算、利益、資金繰りなどです。
この段階では、一つの問題を一つの箱だけに入れなくても構いません。
例えば「管理者が忙しい」は、人の問題であると同時に、業務分担や情報共有の問題かもしれません。複数の箱にまたがる課題には印をつけます。
ステップ3|原因と結果を矢印でつなぐ
次の10分では、書き出した課題を矢印でつなぎます。
例えば、次のような流れです。
職員の退職
→ 管理者が現場へ入る
→ 新人教育と営業が止まる
→ 利用者を増やせない
→ 売上が下がる
→ 採用費をかけにくくなる
ここで重要なのは、「誰が悪いか」を決めることではありません。
どの出来事が、次の問題を生んでいるのかを見ることです。
「採用できない」が出発点に見えても、その前に「採用しても教える人がいない」「管理者しか分からない仕事が多い」「必要な情報を探す時間が長い」といった原因が隠れていることがあります。
矢印が多く集まる場所は、経営全体へ影響している可能性が高い箇所です。
ステップ4|緊急度と影響度で優先順位をつける
次の10分では、それぞれの課題を「緊急度」と「影響度」で見ます。
| 分類 | 考え方 | 例 |
|---|---|---|
| 緊急度:高/影響度:高 | 最優先で対応する | 人員基準、資金繰り、事故や法令上の問題 |
| 緊急度:低/影響度:高 | 計画的に着手する | 採用後の教育、管理者業務の見直し、稼働率管理 |
| 緊急度:高/影響度:低 | 期限を決めて処理する | 単発の書類修正、個別の問い合わせ対応 |
| 緊急度:低/影響度:低 | 今はやらない選択もする | 効果が不明確な細かな変更 |
声が大きい問題や、今日届いた依頼が、経営上最も重要とは限りません。
逆に、毎日10分ずつ発生する転記や確認は緊急に見えなくても、職員全体で積み重なると大きな負担になります。
安全や法令に関わることを最優先にしたうえで、複数の問題へ影響する課題を上位に置きます。
ステップ5|明日から始める行動を一つ決める
最後の10分で、最初の行動を一つだけ決めます。
「採用を改善する」「DXを進める」のような大きな言葉では、誰が何をするのか分かりません。明日実行できる単位まで小さくします。
例えば、次のように決めます。
- 管理者が1週間、途中で呼ばれた用件と時間を記録する
- 直近3か月の退職理由を、推測と本人の発言に分けて確認する
- 利用終了、欠席、入院による売上への影響を一覧にする
- 同じ内容を二重入力している帳票を一つ洗い出す
- 新規問い合わせから利用開始までの流れを紙に書く
最初の行動は、問題を一度で解決する施策でなくても構いません。
次の判断に必要な事実を集める行動も、立派な一歩です。
具体例|「管理者が現場から抜けられない」を整理する
「管理者が忙しい」という相談を、そのまま人員不足だけの問題として扱うと、すぐに求人を出す結論になりがちです。
しかし、実際には次の要因が混ざっている可能性があります。
- 欠員を埋めるためにシフトへ入っている
- 職員が判断に迷うたび、管理者へ確認している
- 書類の保管場所が分からず、管理者へ聞いている
- 新人へ教える内容が決まっていない
- 管理者しかできないと思われている仕事が多い
- 会議、記録、請求が特定の時期へ集中している
この場合、最初の行動を「求人を出す」にする前に、管理者が1週間、何に呼ばれ、何分使ったかを記録すると、原因を具体化できます。
人員を増やすべきなのか、判断基準を共有すべきなのか、情報の置き場所を統一すべきなのか。必要な対策を分けて考えられるようになります。
45分課題整理シート
次の項目を一枚に書けば、今回の手順を実践できます。
- 今起きている事実
- 経営者・管理者が感じている不安
- 人・利用者と売上・業務・お金への分類
- 原因と結果のつながり
- 緊急度と影響度
- 最初に変える一つ
- 明日行う具体的な行動
- 誰が、いつ確認するか
すべての欄を埋める必要はありません。分からない箇所が分かることも、課題整理の成果です。
45分で全部を解決する必要はない
介護経営の問題を、45分ですべて解決することはできません。
しかし、複数の問題を分け、つながりを見て、最初に確かめることや変えることを一つ決めることはできます。
CARESPACEの45分無料相談では、現在地を確認し、複数の問題のつながりと優先課題を整理します。特定のサービスを導入することを前提にせず、自社でできること、別の専門家へ相談すべきこと、今は動かない方がよいことも含めて、次の行動を一緒に考えます。毎月5社限定で受け付けています。
相談内容をまだ言葉にできない場合は、登録不要の簡易診断から始めることもできます。

