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送迎表づくりが毎夕の「パズル」になる理由 — デイの送迎を属人化から構造化へ

デイサービスの送迎組みが属人化する構造的理由と3つのリスクを整理。固定情報と当日変動を分ける構造化3ステップと、予定から送迎表を導出する考え方を解説。

送迎表づくりが毎夕の「パズル」になる理由 — デイの送迎を属人化から構造化へ

対象読者: 通所介護(デイサービス)の管理者・生活相談員、送迎担当を兼ねる現場リーダー この記事で分かること: 送迎組みが複雑になる構造的な理由、属人化のリスク、「固定情報と当日変動を分ける」構造化の手順 読了目安: 6分


なぜ送迎表は毎日作り直しになるのか

デイサービスの夕方の事務所で、ホワイトボードやExcelとにらめっこしながら翌日の送迎を組む——多くの事業所で見る光景だ。そして送迎組みは、たいてい「あの人にしかできない仕事」になっている。

複雑さの正体は、変数の多さにある。送迎表は次の要素を同時に満たす必要がある。

  • 利用者側: 住所と道順、乗降にかかる介助量、車椅子・リフト車の要否、家族の出迎え時間の制約、同乗の相性
  • 車両側: 台数、定員、車椅子固定席の数
  • 職員側: 運転できる職員のシフト、添乗の要否
  • 時間側: 提供時間に間に合う到着、便ごとの所要時間

これらの制約を全部満たす組み合わせを、人の頭で解いている。だから難しいし、解けるのは条件を全部覚えているベテランだけになる。

さらに厄介なのは、送迎表が「完成しない」書類だという点だ。当日朝の欠席連絡が1本入ると、その車両のルートが変わり、玉突きで別の便の順番も変わる。作った瞬間から崩れはじめる前提の計画を、毎日ゼロから紙に書き直している事業所は少なくない。

属人化した送迎組みの3つのリスク

「ベテランが頭の中で組む」運用は、回っているうちは速い。だがリスクは静かに溜まっていく。

① その人が休んだ日に破綻する。条件が紙になっていないので、代わりの職員は利用者ごとの介助量も家の場所も分からない。急な欠勤が送迎遅延に直結する。

② 乗せ忘れ・降ろし忘れの温床になる。当日変更が口頭伝達だと、変更後の最新版がどれか分からなくなる。送迎中の事故やヒヤリハットの多くは「情報が最新でなかった」ことから起きる。

③ 新規利用者の受け入れ判断が鈍る。「この曜日はもう車が組めない気がする」という感覚で受け入れを断ると、実際には空きがあるのに稼働率を下げてしまう。逆に無理に詰めて送迎時間が延び、既存利用者の満足度を落とすこともある。

構造化の手順 — 固定情報と当日変動を分ける

送迎組みをパズルから構造に変える鍵は、毎日変わらない情報と、当日変わる情報を分けて管理することだ。

Step 1: 固定情報をマスタ化する。利用者ごとの住所・乗降介助量・車椅子要否・時間制約・同乗の注意点を、送迎担当の頭の中から出して一覧にする。車両の定員・車椅子席、職員の運転可否も同様。ここまでやると「ベテランの記憶」の大半は紙(データ)になる。

Step 2: 基本ルートを曜日ごとに固定する。利用者の曜日パターンは大きくは変わらないので、曜日ごとの「基本形」を作っておく。毎日ゼロから組むのをやめ、基本形からの差分だけを考える。

Step 3: 当日変動は「差分」として処理する。欠席・時間変更が入ったら、基本形から該当者を外し、影響する便だけ組み替える。変更履歴が残る形にすれば「最新版はどれか」問題も消える。

この3ステップは紙とExcelでも実現できる。ただし、固定マスタと当日の利用予定を毎回突き合わせる作業が残る。

「予定」から送迎表が導出される、が正しい順番

構造化を突き詰めると、気づくことがある。送迎表は独立した書類ではなく、その日の利用予定から機械的に導出できる書類だということだ。

誰が来るか(予実の予定)× 誰がどの介助を要するか(利用者マスタ)× 何で運ぶか(車両マスタ)。この3つが揃っていれば、送迎表の骨格は自動で組める。当日の欠席連絡は予定の変更として入力すれば、送迎表側に反映される——という流れが本来の姿だ。

CareSpace OSではこの考え方どおり、その日の利用予定者と車両情報から送迎表を生成する設計にしている。送迎担当の仕事は「ゼロから組む」ことから「生成された案を現場感覚で微調整する」ことに変わる。ベテランの知見は同乗の相性や道順の注意点としてマスタに蓄積され、その人が休んでも事業所に残る。

送迎は事故リスクと隣り合わせの業務であり、属人化したままにしておく理由はない。まず固定情報の棚卸しから始めてほしい。頭の中の条件を書き出した一覧表は、道具を入れる・入れないにかかわらず、事業所の資産になる。


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