前回は、現場から上がった要望をそのまま機能にするのではなく、仕事のどこで止まっているのかを確認する必要があることを書きました。
では、課題を整理して新しい機能を実装すれば、業務改善は完了するのでしょうか。
実際には、システムを導入した日や新機能を公開した日が、改善できた日ではありません。
現場で使われない。入力する人が一部に限られる。以前の紙やExcelも残る。機能は使われているが、その後に転記や確認が発生している。
こうした状態では、画面上の利用回数が増えても、仕事が減ったとは言えません。
介護システムの定着で見るべきなのは、「ログインしたか」だけではなく、仕事の流れが実際に変わったかです。
この記事では、システムや新機能を導入したあとに確認したい7つの視点を紹介します。
1|誰が使い、誰が使っていないか
事業所全体の利用回数だけを見ると、一部の職員が多く使っているだけでも、定着しているように見えます。
確認したいのは、職種や役割ごとの利用状況です。
- 管理者だけが入力していないか
- 特定のベテランが他の職員の分まで処理していないか
- 非常勤職員が使う機会を持てているか
- 夜勤や別拠点の職員が情報を確認できているか
- 新しく入った職員が迷わず使えているか
使っていない人を責めるのではなく、使わない理由を確認します。業務上必要がないのか、操作が分からないのか、以前の方法の方が早いのかによって、対応は変わります。
2|以前の方法が残っていないか
新しい仕組みを導入しても、以前の紙、Excel、個人のメモ、別のチャットが残っていれば、仕事は減りません。
むしろ、新旧の両方へ入力する二重運用になります。
新機能を追加するときは、どの作業を新しい仕組みに移すのか、以前の方法をいつ終了するのか、例外時の扱いをどうするのかまで決める必要があります。
「念のため紙にも残す」が続く場合は、システムへの不安、監査への懸念、閲覧権限、操作性など、別の原因が隠れています。
3|入力後に転記が発生していないか
一つの機能が便利になっても、その情報を次の書類や記録へ手作業で写していれば、業務全体としては改善していません。
例えば、トークルームで申し送りを行っても、その内容を支援経過へ転記する必要がある。バイタルを入力しても、報告書は別に作る。FAXをデジタルで受け取っても、利用者ごとのケースファイルへ人が保存する。
確認するのは、機能単体の操作時間ではなく、その前後を含む仕事です。
情報が発生してから、次の判断や書類へ使われるまでを追い、同じ内容を書き直している場所を見つけます。
4|担当者が休んでも仕事が止まらないか
システムが定着しているかは、担当者が不在の日に分かります。
必要な経過を他の職員が確認できるか。次に行うことが分かるか。関係者との連絡内容を追えるか。書類の最新版を判断できるか。
担当者本人の記憶や個人メモがなければ分からない状態なら、入力件数が多くても、情報共有の仕組みとしては不十分です。
休みの日にも担当者へ電話が入るのであれば、何の情報が共有されていないかを確認します。
5|管理者の確認回数が減ったか
新しい仕組みを導入した結果、現場から管理者への質問が増えることがあります。
導入初期には必要な期間ですが、いつまでも同じ質問が続く場合は、操作説明だけでは解決しません。
- 判断基準が画面から分からない
- エラー時の対応が決まっていない
- 承認が必要な範囲が広すぎる
- 職員ごとの権限が合っていない
- 進捗を一覧で確認できない
システムは、現場の作業を管理者へ移すためのものではありません。
現場が必要な情報を確認し、基準に沿って進められる状態をつくることで、管理者は例外や重要な判断へ集中できます。
6|困ったときに声を上げられるか
使いにくい機能があっても、「せっかく導入したから」「自分だけ分からないのかもしれない」と、職員が声を上げないことがあります。
その結果、表面上は問題なく使われているように見えながら、現場では回避手順や個人ルールが増えます。
どの情報を探せなかったのか。どこで以前の方法へ戻ったのか。本来の手順より多く操作している場所はないか。自動化された結果を確認しにくくないか。
要望を機能名だけで受け取らず、実際の仕事の流れと一緒に確認します。
7|利用者や職員に向き合う時間が増えたか
最終的に確認したいのは、システムの利用率ではありません。
探す、写す、待つ、聞き直す時間が減ったか。利用者さんの変化に気づく時間が増えたか。家族の話を落ち着いて聴けるようになったか。職員同士で相談する時間が持てたか。管理者が採用や経営を考える余白を持てたか。
時間を正確に測れない場合でも、残業の理由、担当者不在時の電話、書類を探す質問、申し送り後の転記、月末にまとめて行う作業などの変化は確認できます。
便利になったという感想だけでなく、どの仕事がなくなり、何に時間を使えるようになったかを見ます。
定着とは、毎日ログインすることではない
現場へ定着したシステムは、使うこと自体が目的になりません。
仕事の途中で自然に使われ、必要な情報が次の業務へつながり、以前の方法へ戻る必要がなくなる。担当者が休んでも経過を追え、管理者だけに判断が集中しない。
この状態になって初めて、システムが業務の一部になったと言えます。
導入時の研修だけで定着を判断せず、公開後の使われ方を見て、項目を減らす、表示を変える、次の仕事との連携を見直すことが必要です。
CareSpace OSは、公開後の仕事まで見て改善する
CareSpace OSでは、現場から上がった要望を機能として追加するだけでなく、その情報が次の仕事へどうつながるかを見ています。
トークルームでの申し送りを支援経過へつなぐ。受信した書類を対象利用者のケースファイルへ振り分ける。バイタルデータをグラフ化し、報告書へつなぐ。連絡、記録、書類を別々の作業にしない。
そして、新機能を公開したあとも、実際に使われているか、以前の作業が残っていないか、別の確認を増やしていないかを確かめます。
新機能を出したことではなく、現場の仕事が変わったことを改善の基準にする。
利用者さんと向き合う時間を増やすために、使われ方を見ながら仕組みを変え続けます。
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導入したシステムが定着しない、紙やExcelとの二重運用が残っているなど、現場の状況を一緒に整理します。

