「求人を出しても応募が来ない」
「採用できても、現場へ十分に仕事を教える余裕がない」
「人が足りないため管理者が現場へ入り、採用や育成がさらに遅れている」
介護事業所の人手不足は、採用活動だけで解決できる問題ではありません。
もちろん、新しい職員を採用することは重要です。しかし、現在の仕事に二重入力、探す時間、不要な確認、管理者への判断集中が残ったまま人を増やすと、教育や調整の負担まで増える場合があります。
人手不足への対策では、「何人採用するか」と同時に、「今ある仕事を何人で回せる状態へ変えるか」を考える必要があります。
この記事では、介護事業所が採用を増やす前に見直したい7つの業務を紹介します。
1|同じ情報を何度も入力する仕事
利用者の体調変化を紙へ記録し、介護ソフトへ入力し、申し送りのチャットへ書き、報告書へ転記する。
一つの情報を複数の場所へ入力していると、職員が増えるほど「誰が、どこまで入力したか」の確認も増えます。
まず、一つの情報がどこで発生し、どの記録や書類に使われているかを追います。
- 紙とシステムの二重入力
- チャットから支援経過への転記
- バイタル表から報告書への転記
- Excelと介護ソフトへの重複入力
- FAX受信後の台帳入力
入力元を一つにし、必要な記録や報告へ連携できれば、人数を増やさなくても減らせる作業があります。
2|情報や書類を探す仕事
人手不足の現場では、目に見える作業だけでなく、必要な情報を探す時間も負担になります。
紙ファイル、共有フォルダ、個人のパソコン、チャット、メール、介護ソフトへ情報が分散していると、担当者本人しか分からない場所が増えます。
確認したいのは、次の時間です。
- 利用者の最新書類を探す時間
- 過去の連絡内容を確認する時間
- FAXを対象利用者のファイルへ保存する時間
- 担当者へ保管場所を聞く時間
- 書類の最新版を判断する時間
情報の置き場所を統一することは、単なる整理整頓ではありません。担当者が休んでも仕事を止めず、新しい職員が業務を覚えやすくする人手不足対策です。
3|電話で仕事が中断される時間
介護現場では、利用者、家族、医療機関、介護事業所、行政などから多くの電話が入ります。
一本の電話は数分でも、作業が中断され、再び元の仕事へ戻るまでには時間がかかります。担当者不在の場合は、伝言、折り返し、再確認も発生します。
電話をすべてなくすことはできません。ただし、次の内容は見直せます。
- よくある確認を事前に共有できないか
- 電話以外で受け取れる連絡はないか
- 誰から何の用件かを整理して渡せないか
- 本当に担当者の判断が必要な電話か
- 折り返し期限と緊急度が分かるか
電話対応を個人の頑張りで支えるのではなく、用件を整理して必要な人へつなぐ流れをつくることが重要です。
4|管理者にしか判断できない仕事
管理者が忙しい事業所では、現場の人数だけでなく、判断が一人へ集中している可能性があります。
欠勤時の配置、利用者対応、書類確認、家族への回答、採用、教育、請求、営業。すべてを管理者が決めていれば、職員が増えても管理者の仕事は減りません。
業務を次の3つに分けます。
- 管理者が判断しなければならないこと
- 基準を決めれば他の職員も判断できること
- 定型化すればシステムへ任せられること
役割と相談基準を明確にすることで、管理者へ確認する回数を減らし、採用や育成に使う時間を戻せます。
5|職員ごとにやり方が違う仕事
仕事の進め方が職員ごとに異なると、新しい職員は誰の方法を覚えるべきか迷います。
記録する項目、ファイル名、保存場所、申し送り方法、確認する順番を共通にすると、OJTを特定のベテランだけに依存しにくくなります。
ただし、支援の内容まで一律にする必要はありません。
共通にするのは、判断する前の確認項目、情報の置き場所、相談先、記録を残す流れです。利用者一人ひとりに合わせる部分は、専門職が考える余白として残します。
6|確認のためだけに待つ仕事
書類を作成したが、承認者が不在で提出できない。確認依頼を送ったが、届いているか分からない。口頭で確認するため、相手が戻るまで待つ。
このような待ち時間は、業務時間として集計されにくい一方、仕事が終わらない原因になります。
- 誰の確認が必要か
- 何を確認するのか
- いつまでに確認するのか
- 不在時は誰が代わるのか
- 確認済みかどうかをどこで見るのか
確認の流れを見えるようにすると、職員が相手を探し回る時間と、管理者への集中を減らせます。
7|入社後に口頭だけで教えている仕事
採用できても、仕事の全体像、書類の場所、相談先、緊急時の対応をすべて口頭で教えていれば、教育担当者の負担が増えます。
新しい職員が最初の1週間、1か月、3か月で何を覚えるのかを分けます。業務の手順だけでなく、迷ったときに誰へ相談するかも明確にします。
説明資料を増やすだけではなく、実際の業務画面、確認項目、過去の判断を同じ場所で見られるようにすることが重要です。
採用と定着は、求人広告ではなく、入社後の仕事の設計まで含めて考える必要があります。
「採れない」と「働き続けられない」を分けて考える
人手不足という一つの言葉の中には、異なる課題があります。
- 求人が見られていない
- 仕事内容や働き方が伝わっていない
- 応募後の対応が遅い
- 入社後の教育が属人化している
- 業務負担が一部の職員へ偏っている
- 記録や情報共有の仕組みが複雑
- 休みや相談のルールが曖昧
採用数だけを追うと、入社後に辞める原因を残したままになります。
「人を採る力」と「働き続けられる仕事をつくる力」の両方が必要です。
CareSpaceOSで、人を増やす前後の仕事をつなぎ直す
CareSpaceOSでは、記録、情報共有、ケースファイル、FAX、報告書などを一つの業務の流れとしてつなぐことを重視しています。
トークルームの内容を支援経過へ連携する。バイタルデータをグラフ化して報告書へつなげる。複数の書類をAIが解析し、対象利用者のケースファイルへ振り分ける。FAXの受信と送信をデジタル化する。
新しい職員へ不要な転記や探し方を教えるのではなく、そもそもその作業を減らす。
採用した人が利用者や家族と向き合い、チームで相談し、専門性を発揮できる時間をつくるために、業務の土台を整えます。
人手不足、採用、管理者負担、業務改善のどこから整理すべきか決まっていない場合は、介護経営の初回整理相談で現在地から一緒に確認できます。

